今日の六鬼妄想 いい夫婦編

11月22日はいい夫婦の日!という訳で本日は吐とその妻達について色々と語ってみます。
まずは吐の妾であり燎の母である香。作中で詳しい容貌や性格が明かされる事はありませんでしたが、吐や燎、吐家の反応を観察するとその人となりが浮かび上がって来ます。17巻で小さく描かれた香の表情が笑顔だった事や、香の死を悼む吐の様子から見ると、身分の違いはあれど夫婦仲は円満だったのでしょう。吐の立場上、杣家には時々しか立ち寄る事は出来なかったのかも知れませんが、吐が来た時には笑顔で温かく迎え入れ、共に過ごす少ない時間を大切にしていたのだと思います。娘の燎も真面目で働き者で聡明で親思いの行儀の良い子に育っていますし(限度を越えてますが)、しつけの出来る立派な母親だったようです。
そして低い身分ながらも誇りを持った聡明な女性だったのではないでしょうか。時代劇や2時間ドラマでは「武士の子を産んだ身分の低い女性が、この子は貴方の子だと言って武家屋敷に押しかける(そして影でこっそり斬られて存在を無かった事にされる)」とか、「不倫相手のキャバ嬢がいつ奥さんと別れてくれるの?と男を問い詰める(その後他殺体で発見される)」といったシーンが良くあります。立場だけでいえば香も同じではありますが、志摩・頼母の態度や吐家の反応からすると、今までに妾の存在を感づかせる何かが起こったという空気はありませんでしたから、そういった行動は今までしていなかったのでしょう(頼母だけはどこかで感づいていて、全てを知っている上であえて知らないフリをしているのかも知れませんが)。そして未だに粗末な家に暮らし炭を売って働き続けている事から、吐からの金銭的な援助を受けている訳でもないようです(吐の方からは金銭的援助の申し出が有ったけど香が断ったとか)。子供を盾に吐家に押しかける事もせず、金銭を要求する訳でも無く、自力で生活し燎を育て上げた香は、確かに低い身分ではありましたがそれでも矜持を持った自立した女性だったのではないでしょうか。
香が吐家に積極的に関わろうとしなかった原因としては吐に迷惑をかけたくないという気遣いか、または武家としての吐家の出方を警戒していたという事もあるのかも(吐を信用していないのではなく、吐の目の届かない所で政治的思惑やお家騒動等が起こり、そこで自分達が利用されるか殺害される可能性も有るかもしれないという危惧とか)。
志摩が燎の正体に気付いた原因が容姿ではなく体捌きだったという点から考察するに、燎の容貌は母親似、身にまとう雰囲気や凛々しさは(剣の鍛練のせいで)父親似という事なのだと思います。逆に考えると香は燎からキツさや凛々しさを取ったような、燎を柔和にしたような容貌だったのではないでしょうか。ロングヘアーの美人さんですね。
吐と香がどのように出会い、家庭を持つに至ったかは不明ですが、そこには若い恋が有り、吐は100%自分の意思で香を選びました。そして低い出自であっても聡明な人間が居るという事を知り、身分や境遇に捕われずに相手の実力を見極める目を養い、その結果死罪人であっても実力の有る者は命を救い自らの手足となる組織(無骸流・六鬼団)を作るきっかけになったのかも。そう考えると香は「六鬼団(無骸流)の産みの母」と言えるのではないでしょうか。いや元々吐が身分でなく実力を見極める目を持っていたからこそ香を見初めたのかも知れませんが。
そして志摩。吐が香を自分の意思で選んだのとは違い、志摩は当時の風習からいって家同士が決めた結婚相手だったと思います。吐家と釣り合う家柄の出身で、武家の妻としてふさわしい女性として見初められたのでしょう。作中で描かれた二人の様子を見ると、政略結婚であっても非常に仲睦まじかったようです。
息子の索太郎と共に英に捕らえられ人質となったせいで夫の最期の望み(逸刀流殲滅)が断たれ、手駒である六鬼団も手放さなくてはならないという状況に陥った時、志摩と索太郎は吐の生き様を全うさせる為に自害しました。色々な条件や偶然が積み重なった結果このような状況になったけど、本来なら吐が切腹した後も志摩や索太郎が命を落とす事は無いし、索太郎が生きていれば少なくとも「吐家の正当な血筋」が断絶する事も無かった筈。さらに母親という立場であれば「子供の命だけでも助けてほしい」と思うのが自然です。しかし志摩と索太郎は、お家の存続や自分達の命よりも夫・父の最期の仕事を全うできる道を選びました。家名よりも吐個人の意思を尊重し、また吐の側にはまだ燎が居て、吐鉤群の血はこの子が繋いでくれるという希望を持ったからこそこういう行動をとったのでしょう。
この自害により吐は六鬼団を手放す事無く逸刀流を追う事が出来るようになりました。志摩本人は六鬼団の存在なんかこの時まで意識してなかっただろうし、助けようとした訳でも無かったでしょうが、結果的に六鬼団は志摩のおかげで(一時的にとはいえ)命を永らえる事が出来ました。 志摩は六鬼団を守った母と考えられなくも無いのではないでしょうか。大分強引ですが。
しかし切羽詰まった状況だったから妾や燎の存在を受け入れていましたが、もし切腹を下知されない平和な状況で志摩が妾の存在に感付いていたりしたら吐に斬りかかってたんじゃないだろうか・・・かなり気が強そうだし・・・(汗)でもどんな状況であっても最終的には燎や香の存在を受け入れていたかも知れませんね。

そして以前から疑問だった事。
索太郎の年齢とか志摩が「若い奥さん」と評された事から、単純に計算すると吐は30代後半で若い志摩を嫁に貰ったという事になりますが、吐家ほどの大きな武家の頭首がそんな年齢になるまで妻を持たなかったのは不自然だと思うのです・・・もしかしたら志摩が嫁入りする以前にもう1人妻がいたのではないかと思わずには居られません。
<20代?> 一人目の妻を娶り、生まれた子供も順調に成長(10歳〜15歳とか)していたが、何らかの原因により妻も子も失う。
↓ ※この頃に香と出会い?燎誕生。吐30歳。
<30代終盤〜40代> 後妻として志摩を迎える 索太郎誕生
いや完全に個人的な妄想なんですが(汗)年齢的にはこうだったら自然かなーという妄想・・・っ